過剰投薬の横行

■”院内処方”で薬の量が増えてしまう理由

吉田医師のクリニックは東京都渋谷区にあります。
吉田クリニックでは薬をあまり出さないので、当初の評判は悪かったようです。
「せっかく病院へ行ったのに薬も出してもらえない」ということのようですが、患者のほうがあまりにも薬をもらいなれてしまっており、「投薬=治療」という思い込みが強いためでしょう。

渋谷区は特に「医薬分業」が進んでいない地域なので、病院が薬の在庫を持ち販売するという形になります。
在庫が少ないほど、処方する薬の量が多いほど儲かるというわけで、いきおい薬の量は増えてしまうのでしょう。

■抗生物質を使いすぎる日本の医療

まず、抗生物質は細菌には効きますがウイルスには効果がありません。
日本ではインフルエンザはもとより、風邪の70~80%はウイルス性のものです。
裏を返せば、抗生物質が有効な細菌性の風邪は全体の20~30%に過ぎないわけです。
にもかかわらず、風邪の治療に抗生物質を出す率は90%以上という実態があります。
これはどう考えてもおかしな話です。

抗生物質は人間の身体にとっては異物(毒)であるため、過剰投与は肝機能、腎機能に悪影響を及ぼします。
ただでさえ病気で弱っている身体に、さらにダメージを与える可能性があるのです。

また、細菌を殺す抗生物質は、身体に悪影響を与える悪玉菌を殺してくれますが、同時に善玉菌まで殺してしまいますので、これも身体を守る機能を損ない、逆効果を招きかねません。

このような非合理な治療、投薬が行なわれる背後にも、「薬をたくさん売りたい医療機関」、「薬をもらわないと治療をしてもらえなかったと不安、不満を持つ患者」という、見事な欺瞞の構図が見て取れるのです。

昨今、米国では抗生物質の過剰投与に警鐘が鳴らされていますが、日本の実態は米国をしのぐと言われており、かつ、抗生物質を危険視する見解は封殺されがちな傾向にあるのは、憂えるべき事態と言えるでしょう。

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